伊勢半グループでは、キスミー特殊口紅やシャインリップをはじめ、ハンドクリーム、サンキラー(日焼け止め製品)、ヒロインメイク(マスカラ)と、その時代ごとにヒット商品を誕生させて参りましたが、そのひとつひとつに開発秘話があります。
開発研究員の皆さん
新製品は、お客様に喜んでいただける安全・高品質な製品づくりをモットーに、企画部門などからの依頼研究と研究所で将来に向けての研究によって生み出されます。その間には幾度となく試作が繰り返され、企画担当、原料メーカー、製造担当、研究員と、さまざまな分野の人たちが活発に意見を交換。全員が納得するまで研究は続けられ、すでに発売された商品においても、市場の変化やお客様からのご意見を参考に、改良・改善が行われています。
研究所の皆さんに、日頃のご苦労の様子を伺ってきました。

狩野研究所長
依田開発研究員
「毎年新しい製品を投入している人気のサンキラーシリーズにおいても、一気に新たな製品が誕生するわけではなく、長年の研究技術に新たな技術やお客様からのご要望を加え、いわば進化するように開発が進められています」と研究所長の狩野さん。
開発当初は、紫外線防止効果に重点がおかれたため、主に紛体の分散化技術や紫外線吸収成分の配合技術に関する研究が行われ、研究者自らが試作品を背中に塗布し、実際に太陽を浴びてその効果を確認していたことも。
「研究所の敷地にビーチチェアを並べ、数人の研究員が半日横になって実験したこともありました。傍から見ればなんと優雅な仕事だと思われたようですが、サンキラーを塗らなかった部分は赤くはれあがり、数日するとサンキラーを塗った部分は白いまま、塗らなかった部分は黒く残ってまだらな背中となり、しばらくは裸になれませんでした(笑)」と開発研究員の依田さん。
現在では、そのテストは第三者機関に委託されていますが、汗に強い、白浮きしない、ベタつかない、潤いを保つといった新たなニーズに対応する処方研究が進められており、それらの効果については今も研究者自らの肌でも使い心地を確かめながら開発を行っています。

渡邊開発研究員
そういった徹底した検証体制は、2005年大ヒットしたヒロインメイクに関しても例外ではなく、女性研究員だけでなく、男性研究員も自らのまつ毛に幾度となく塗布し、仕上リ具合を確認しています。
「今ではすっかり慣れましたし、私自身も1日に100回くらいマスカラを塗ることがありますが、入社当初は本当に驚きました。いろんなメイクをした男性がうろうろしているんですから…。でも、そんな一生懸命な姿が好きですし、男女、先輩後輩関係なく、意見を取り上げてもらえるので、大変なことがあっても、とてもやりがいがあります」とヒロインメイク開発担当の一人、渡邊さん。
「ヒロインメイクに関しては、“日本人には下向きまつ毛の人が多い”ことと、“時間がたつとマスカラが落ちてパンダ目になってしまう”ことに悩んでいる人が多いことに着目し、“カール力”と“パンダ目にならない”ことに重点をおいて開発を始めました。実は、カール力を訴求する中身とパンダ目にならないことを訴求する中身は大きく形態が異なるため、一つの処方で二つの性能を両立させるのはとても苦労しました」とマスカラの開発研究員、森ヶ崎さん。
まつ毛撮影台
試作品をまつ毛に塗り、あごを台(開発当初は専用の台を自作したそうです!)にのせて固定し、横から撮影してどれだけまつ毛が上にカールしたかを画像で客観的に確かめたり、一日中マスカラを塗ってすごし、マスカラのにじみ具合を検証するなど、研究開発には1年以上が費やされました。ようやく満足のいく処方が完成しても、瞳への安全性の確認をはじめ、効果的に塗れるブラシの設計など、課題は山積みだったそう。
大ヒットシリーズ
キスミー「ヒロインメイク」
「試作の段階では研究者同士でも意見が違うことがありましたし、モニターさんからもいろいろなクレームをいただきました。クレームというとイヤなものと思いがちですが、研究者にとっては貴重な財産。新たな視点から研究を始めるきっかけになりますし、その課題を解消することこそ研究者の醍醐味。納得の製品が出来上がったときは“やったー”って思いましたし、完成品が大ヒットしたときには本当にうれしかったです」と渡邊さん。

ヒロインメイクは1970年代の少女マンガのヒロインをイメージにしたキャラクターデザインも話題となり、大ヒット。日本最大の口コミコスメサイトでは2005年度ベストコスメ大賞第2位、マスカラ部門の第1位を獲得しました。
「ヒロインメイクは、私たちの想像以上に高い評価をいただきましたが、実は、発売後しばらくして予想外の出来事がありました。一部のお客様から“クレンジングしてもマスカラが落ちない”という声をいただいたんです。相性のいいクレンジングを使っていただければすぐに落ちるのですが、数多いクレンジングの中で、どれが合うのかお客様にはわかりにくいものです。そのことに気づいた私たちは、すぐに新たな研究開発を進め、ヒロインメイク専用のクレンジングを開発することができましたが、お客様の声は、本当に貴重だと痛感しました」(森ヶ崎さん)
同じように見えても、メイクは時代によって変化し、使い方も感じ方も人によってさまざま。とくに価値観が多様化した現在では、ひとつの製品が万人にベストとはいえなくなっています。そんな時代の中で、より多くのお客様に喜んでいただける商品をご提供するには、お客様の声を取り入れるだけでなく、新たなニーズにいち早く気づき、すばやく対応する体制づくりも不可欠なのです。
益子開発研究員
「私は現在、ファンデーションの開発に関わっていますが、普段メイクをする女性と違って、そういった感覚をつかむことはむずかしく、研究当初は四苦八苦しました。片っ端から女性誌をチェックし、女性研究員や家族など身近な人からも意見を聞き、女性を見れば、メイクをチェック。おかげで今ではそれがすっかり習慣となり、電車に乗ってもつい、女性の顔を見てしまうため、変な人と思われてしまうこともあるくらいです(笑)。
でも、長年のメイク検証のおかげか、少しずつ自分の肌感覚もつかめるようになってきましたし、多くの女性が悩んでいる皮脂や毛穴をカバーする検証など、場合によっては、男性の肌で試したほうが効果がはっきりわかることもあると気づき、男性の視点からニーズを追求することも必要だと思えるようになりました」と開発研究員の益子さん。
伊勢半グループの商品は、こうした開発研究員一人ひとりの絶え間ない探究心ときくばり、そして、多くの“お客様の声”によって育まれています。